こんな本を読みました
補 追:2000年1月9日
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あのたくさんのシンアは、誰が全部食べたのだろうか
- 著 者:(朴婉緒(パク ワンソ))
- 発 行:(ウンジン出版)
- 定 価:6,000ウオン
- コード:ISBN89-01-01760-1
- 発 行:(ウンジン出版)
この本は、1931年生まれの女性作家であるパク ワンソの子供時代から韓国動乱(朝鮮戦争)勃発の頃までを描いた自伝エッセイです。
著者が生まれ育った開城の田舎の風景、田舎から大都会ソウルに移り住む情景、それらを通して、子供から思春期への心の移り変わりが、この著者独特な語り口で描写されています。
また、本の後半部分では、韓国動乱時に著者と著者の家族の回りに起きた事件を通して、日本に生まれ育った人間には知り得ない、民族同士の戦争の悲惨さを知る事が出来ました。
さて、私が、この本を読むきっかけとなったのは、私が、今、参加している韓国語の勉強会のテキストとして使われることになったからです。
正直言って、私の韓国語力では、読むのにかなり難儀しました。
普段の日常会話では使わない単語やら、文学的な表現が判らないのは当然のこととして、その上、植民地時代の韓国の田舎生活だとか風俗・習慣等を知らないと理解出来ない内容がたくさん出てきました。
しかし、それらの事も、辞書を引き引き読み進み、先生の解説を聞く事で、今まで知らなかった当時のことを勉強することが出来て、本当に有益なものでした。
韓国語の勉強会の先生が、この本をテキストとして取り上げたのも、韓国語の実力向上のためには、「言葉」だけの勉強ではなく、その言葉と密接に結び付いている歴史的な時代背景を勉強させることが重要だという狙いがあったと思いますし、その狙い通り、この本を読む事が、自分にとって大きな収穫がありました。
韓国語の本なので、誰にでも薦められるというものではないのですが、韓国語がかなり出来る方であれば、ご一読を!
この本の日本語訳が出版されました。
本の題名は、
「教科書に書かれなかった戦争・らいぶ 新女性を生きよ」
です。
- 訳 者:朴 福 美
- 発 行:梨の木舎
- 定 価:2,000円(税別)
- コード:ISBN4-8166-9903-1
- 発 行:梨の木舎
貴重な歴史体験を日本語で読めることに感謝する次第です。
韓国語が苦手な方は、こちらを是非ご一読ください。