こんな本を読みました

公開日:1999年10月30日

■ 韓国 近い昔の旅

韓国 近い昔の旅

  
著 者:神谷丹路   
出版社:凱風社
定 価:1,845円(税抜)
コード:ISBN4-7736-1804-3

この本は、著者が、留学のため初訪韓した1981年から1991年までの10年間に体験したことが書かれています。
(最近は、留学体験記というのも珍しくなく、ここでは取り上げないのですが、この本は、一味違いました。)

さて、私は、ここ数年ほど、植民地時代について興味があります。
というのも、自分と同世代の韓国人と同じように韓国語を喋るためには、言葉だけの勉強に加えて、言葉の背景にあるものも勉強しなければならないと強く思うようになったためです。
その言葉の背景の一つが「植民地時代を知る」ことであると考えています。
若い世代のことは判りませんが、60年代生まれの韓国人であれば、最低限、知っていなければならない植民地時代のことは、なんとしてでも手に入れなければと考えています。

この本は、その手助けになる一冊です。
著者である神谷氏が、韓国の色々なところに出向いて植民地時代の生き証人達に話を聞くくだりがあります。
実際に植民地時代の経験者からの貴重な証言が載っているのですが、取材当時(80年後半から90年頃)のことを考えると、おそらく、植民地時代を生きた人達に話を聞ける過渡期の最後の方ではなかったではないかと思われます
この1999年では、同じ話を聞きたくても、難しくなっているのではないでしょうか。

この本のいいところは、韓国に関する基礎的知識がある人だけではなく、基礎的な知識が無い人が読んでも理解しやすいように、本文の余白に注釈が付いています。
この余白の注釈も、なかなか気が利いていて、著者の韓国に対する思いが感じられます。
おまけの本文と本文の間にあるコラムも、勉強になります。

韓国初心者からベテランのかたまで、読んで損のない一冊です。

おまけ

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