こんな本を読みました

公開日:1999年12月19日

■ わかりやすい朝鮮戦争

わかりやすい朝鮮戦争

著 者:三野正洋   
出版社:光人社
定 価:2,200円(税抜)
コード:ISBN4-7698-0852-6

ベストセラーとなった「日本軍の小失敗の研究」の著者が、その分析力を用いて書き下ろしたのが、この「わかりやすい朝鮮戦争」です。

さて、この手の、戦争を分析/解説した本というものは、

  • 戦争当事者のどちらかに肩入れしたもの  
  • 兵器や戦略関連に特化したもの
  • 主な人物に焦点を当てたもの

など、いくつかに分類出来ますが、この本は、戦争当事者のどちらにも組みせずに客観性/公正性を持たせて、かつ、兵器や戦略といった「軍事面」と政治や文化背景といった「一般面」が、バランスよくまとめられています。

さて、著者自身がこの本を執筆するに至った動機の中に、1988年以降、旧ソ連、および、中国がそれまで秘密にしていた当時の資料を公開し始めたことにありました。
戦史を分析するためには、当時の正確なデータが必要で、これがようやく実現したことで、この本の執筆が可能になったと述べています。

この本の構成は、時系列毎に戦闘の推移が解説されており、この一冊を読む事で、朝鮮戦争の始まりから終わりまでの流れを知ることが可能になっています。
また、著者の他の本と同様に、兵器/戦略に関する詳細な分析には、感心するばかりです。
前掲の「歴史群像シリーズ 朝鮮戦争」と併せて読む事で、相互に補強しあいながら、深く理解することが出来るでしょう。

私が、この本を読んで、自分自身にとっての新発見は、国連軍として参加したアメリカ軍以外の軍隊のことと、機雷掃海に従事した日本人の中から死亡者が出ていたことでした。
米軍以外にも国連軍の名のもと、他の国からも派遣されていたことは知っていましたが、エチオピア軍も参加していたとは知りませんでした。

戦史を正しく知ることが、同じ悲劇を繰り返さないために必要な条件であることを著者は冒頭で説いています。
この本は、まさに、そのために必要な本です。
ぜひ、ご一読を。

おまけ

  • 本の検索・購入はこちら↓

inserted by FC2 system