こんな本を読みました

公開日:2000年6月10日

■ 「韓国併合」前の在日朝鮮人

「韓国併合」前の在日朝鮮人

編 者:小松 裕、金 英 達、山脇啓造   
発 行:明石書店
定 価:2,796円(税抜)
コード:ISBN4-7503-0627-4

いわゆる「在日朝鮮人」は、日本にいつから存在していたのだろうか?
韓国併合前に存在していたのは、外交官と留学生だけであり、これ以外の在日朝鮮人は存在していなかったのだろうか?
現在の在日韓国・朝鮮人のルーツは、すべて植民地時代に強制連行されて来た人々なのだろうか?

こんな疑問を持ち続けていた私に、一つのヒントを答えてくれたのが、この本です。

さて、この本の前書きには、歴史研究において、ある「通説」がくつがえされるには新しい事実の発見と常識を疑う柔軟性が必要であることを説き、その通説とは、次のことであるといっています。
『一九一〇年(明治四三年)の「韓国併合」以前に日本に居住していた朝鮮人のほとんどは、外交官と留学生であり、朝鮮人労働者の移入は、一八九九年(明治三二年)に制定された勅令第三五二号によって禁止されていた。したがって、朝鮮人労働者の移入は、植民地支配化によってそれが解除された一九一〇年以降のことである。』

この勅令第三五二号が、朝鮮半島から日本への朝鮮人の大量移入を阻んでいたと考えられていました。
しかし、実際には、この勅令第三五二号の対象が中国人であり、朝鮮半島出身者には適用されていなかった事実をその当時の議会の議事録・官公庁の内部資料・新聞から拾い出し、整理収集がされています。

この本を読んでの率直な感想ですが、戦後50年近くもたって、ようやく明らかになることがあるんだなぁというものでした。
古い資料を徹底的に検証した研究者の方々の努力に賛辞を惜しみません。
植民地時代のことを勉強されている方は、必読の一冊です。

おまけ

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