こんな本を読みました

公開日:2000年8月18日

■ 戦前期の在日朝鮮人と参政権

戦前期の在日朝鮮人と参政権

著 者:松田利彦   
発 行:明石書店
定 価:1,650円(税抜)
コード:ISBN4-7503-0671-1

ここ数年、国政選挙がおこなわれるたびに、在日外国人の参政権問題が持ちあがってきます。
特に、在日韓国・朝鮮人側からの参政権要求がされています。

この在日韓国・朝鮮人側からの参政権要求は、「国籍は日本国籍ではないが、日本に住んでいるのだから参政権を要求する」ということになります。
こういった参政権の要求に対しては、色々な考え方があると思います。

さて、戦前、朝鮮半島が日本の植民地になっていて、韓国人・朝鮮人がすべて「日本人(日本国籍)」になっていたとき、その当時、日本に居住していた韓国人・朝鮮人には、参政権があったのかどうか?
参政権があったのであれば、どのようになっていたのか?

過去の問題を知ることが、現在の問題を理解するのに役立つことがあります。
この“戦前期の在日朝鮮人と参政権”は、そんな一冊です。


私が興味を持ったのは、その当時、選挙権を持っていたのは、
「内地(日本本土)に居住していて、法律が定めた納税要件を満たした帝国臣民たる男子」
となっていて、この条件をクリアーした在日朝鮮人が出てくることを日本政府が想定しておらず、どう取り扱うのか紆余曲折があったというところです。

当時の日本では、女性に参政権はなく、また、男性であっても納税要件を満たしていなければ、参政権がなかったので、植民地出身者に対する参政権などは、考えもしていなかったのだろうなということでしょう。
しかし、在日朝鮮人の人口が増加するにつれて、この問題の処理を避けて通れなくなっていき、在日朝鮮人であっても条件をクリアーした者に対しては、日本人同様に参政権が付与されていく過程が、この本では明らかにしてくれます。

また、国政選挙以外にも、地方議会選挙へ在日朝鮮人が進出して、当選者も一人、二人のレベルではないことが証明されています。
現在とは異なり、戦前の日本では、選挙に当選するということではなく、選挙に立候補することが出来るというだけでも、その地域ではかなりの有力者であった証拠であり、日本の各地に、朝鮮半島から渡ってきて、一財産を築き上げた成功者になった朝鮮人が珍しくなかったことをあらわしています。

在日韓国・朝鮮人問題に取り組んでいる人は、必読の本です。
もちろん、植民地時代の歴史を正しく知りたい人にも、おすすめの一冊です。

おまけ

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