こんな本を読みました
■ 朝鮮戦争 金日成とマッカーサーの陰謀
- 著 者:萩原 遼
- 発 行:文藝春秋
- 定 価:1,700円(税抜)
- コード:ISBN4-16-348310-1
- 発 行:文藝春秋
ソ連邦が崩壊し、中国の開放政策が進み、秘密にされていた資料が、公開/流出し始めるまで、朝鮮戦争の研究は、主に西側に存在している資料を基にするしかなく、それが、研究の進展を阻む要因の一つとなっていました。
その後遺症のためか、未だに、朝鮮戦争は、韓国側から仕掛けたものだと信じている人々がいます。
しかし、そのような、資料の入手に関して制限があった時代にも、それを克服して、隠されていた事実を解き明かすことができることを証明した力作がこの本です。
この本は、韓国側の資料を基にしたのではなく、朝鮮労働党、朝鮮人民軍、共和国政府側の内部文書を調査・解析したものです。
では、それらの内部文書をどこから入手したのかといえば、アメリカが朝鮮戦争の際に個々の戦場や、一時占領した北朝鮮地域の各機関から収奪したものが、アメリカの国立公文書館に保存されていたのです。
著者は、そのアメリカ国立公文書館に通い、総ページ数およそ百六十万ページを約二年半をかけて通覧し、数々の発見をしています。
例えばそれは、朝鮮人民軍の南下計画書であったり、労働党の極秘指令書であったり、貴重なものばかりです。
この本に記述されていることは、すべて、北朝鮮側の文書がもとになっているものばかりです。
北朝鮮当局がどう言いつくろうとも、朝鮮戦争は北が仕掛けてきたことを自ら証明してしまっています。
過去の歴史を変えることは、絶対権力者であっても不可能であることを、この本は示唆しています。
(完膚なきまでに北朝鮮当局の嘘を暴き出しています。)
北朝鮮当局の物の考え方は、当時も今も変わることがなく一貫していると私は考えています。
朝鮮戦争を正しく理解することが、近い将来におこるであろう南北統一に対してどのように対処すればいいのか?という問いへの答えを手に入れる一助になるはずです。
朝鮮戦争研究に新たな一石を投じた貴重な本です。
是非、ご一読を!