こんな本を読みました

公開日:2004年1月25日

■ 古狸案先生の韓国語「中級」教室

古狸案先生の韓国語中級教室

著 者:今井久美雄
発 行:三修社
定 価:2,500円(税別)
コード:ISBN4-384-03268-4

私が韓国語を勉強し始めた87年当時、韓国語の入門書は今とは比べ物にならないほど、貧弱なものでした。それは、その当時、韓国語を勉強しようなどと思うのは、在日の人、仕事で必要な場合、あるいは、ごく少数の韓国愛好家や学問・学業として韓国語を専攻している人に限られていた時代背景のためでした。
それでも、88年のソウルオリンピック開催を控え、日本で初めてといっていい「韓国ブーム」が到来し、韓国語学習者の裾野が拡がりをみせ、入門書や初級レベルの学習書には、従来のものとは違った嗜好のものが出始めました。

しかし、それも入門・初級レベルまでであり、初級レベルを終えた人が更なるランクアップをするための学習書については、まだまだ、寒い状況が続いていました。
朝鮮語学科を設置している数少ない外国語大学に入るわけにもいかず、高い金を払って個人レッスンを受けるわけにもいかず、という状況ではなかったでしょうか。
私は幸運にも、東京に住んでいたので、当時、池袋にあった韓国大使館の文化院で、中級コースまで受講することができましたが、教科書に出てこない言いまわしや、旬の言葉を手に入れるには、相当苦労した記憶があります。

この本を読んだときの一番の感想は、「あのときに、この本があれば、要らぬ苦労をしないで済んだのに...」でした。
必死になって韓国語を勉強して、初級レベルを脱したものの、中級レベルの壁を乗り越えられず、壁の前をうろうろとしていたあのときに、この本があれば、かなりの助けになっただろうなと思いました。

たとえば、韓国で中学生であれば誰でも知っている、数学での2乗、3乗は韓国語ではなんというのか、円の面積はなんというのか?など、言えそうで言えない、だけど、初級を終えているのであれば言えて当然のような言い方を教えてくれます。

この本は、著者である今井氏が、“古狸案先生”として登場し、その先生の下で韓国語を勉強している生徒(老若男女、6人)が、授業を受けている場面のやり取りを採録した形式で話が進んで行きます。
章ごとにテーマを決めてあり、それに沿った内容を登場人物たちが勉強をしていきます。読者は登場人物に付き合って授業を受けてる気持ちになれます。

最近の韓国語学習者の拡がりをみるにつけ、初級を卒業し中級レベルに達した人にとって、手元に置いて時間があるときにぱらぱらと何度も読み返すと、役に立つ一冊だと思います。

おまけ

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