こんな本を読みました
■ 日韓対照言語学入門
- 著 者:油谷幸利
- 発 行:白帝社
- 定 価:1,800円(税別)
- コード:ISBN978-4-89174-733-6
- 発 行:白帝社
日本語話者(国籍に関係なく、日本語を第一言語とする者)が韓国語を勉強し始めると、(ハングルを覚えることが関門ですが)最初のうちは、文法的な類似性や漢字語の共通性などから、ヨーロッパ諸言語と比較すると、勉強がどんどんと進んでいきます。
日本語と韓国語が言語学的に類縁関係にあるのかどうかはさておき、言語体系が全く異なる言語を学習するよりは、日本語話者にとって韓国語は「似ている部分が多い」ので、圧倒的に学習し易い言語だと思います。
ところで、私の体験では、入門段階を終え、初級段階を終えるあたりから、母語(日本語)による影響が出始めました。
私は、その原因は「似ている部分が多い」ためであると考えています。
というものの、その体験的な話をすることはできても、それを具体的な理論で説明することは、言語学の素養がない私では、無理なことです。
例えば、日本語で「愛している」は、韓国語で「サランヘ」ですが、「サランハゴイッソ」では不自然です。
(その逆に、韓国語話者が日本語で“愛しています”と言わなければならない場面で「愛します」と話している韓国ドラマを大昔に見たことがあります、、)
日本語で「〜ている」をそのまま韓国語の現在進行形「〜ハゴ イッソ」で置き換えができない理由を言語学的に説明してくれます。
さて、本書ですが、冒頭でこの本の目的を現代日本語と現代韓国語の対照研究について概説し、本格的な研究への手がかりを与えることと記されています。
また、韓国語についての基礎知識を有している人を読者として想定しているとも記されています。
なので、韓国語の入門・初級レベルの人が読むには、ちょっとハードルが高い内容です。
「中級レベルを終えた人」、「正式な韓国語教育を受けず、実践のみで身に付けた人」、「韓国語を勉強していて、かつ、言語学に興味がある人」が、復習と今後の学習指針を決めるためには有用な本だと思います。