こんな本を読みました
■ 朝鮮王公族−帝国日本の準皇族
- 著 者:新城道彦
- 発 行:中央公論新社
- 定 価:840円(税別)
- コード:ISBN978-4-12-102309-4
- 発 行:中央公論新社
1910年に日本が大韓帝国を併合した際、大韓帝国側の皇帝一族の処遇はどうのようになったのか。
この1910年とは、「内鮮一体」のスローガンが登場する1920年よりも前の段階であり、かつ、日本の皇室制度の整備がまとまる1920年代半ばよりも前のことであり、当時の日本政府が、どのように処遇を決めていくのか、その背景が描かれています。
また、王族、公族としてその身分が定まり、植民地支配が終わるまでの処遇や、韓国が独立した後に、各人が辿った歴史を知ることができます。
李王家の皇太子である李垠と梨本宮方子との結婚話が出てきたため、早急に李王家側の法的地位を確定させなければならなくなり、当時の日本政府が、植民地支配の本音と建前に挟まれて「例外」規定でしのぐ様は、滑稽さが表れていました。
この本に登場する26人は、王族・公族と遇せられるようになり、準皇族として身分が安定しても、最後には、才覚の無さや運に見放された結果、経済的に貧窮したり、戦争に運命を翻弄された人が多かったのが、なんともやるせなさを感じました。
当時の時代背景についても言及されており、植民地支配時代の朝鮮王公族とはどのような立場であったのかをコンパクトに勉強できる一冊です。