ソウルの地下鉄

公開日:1996年9月1日

■ 千ウォンの腕時計

ある日のことでした。地下鉄に乗っていると、カバンに腕時計を詰め込んだ、おじさんが乗り込んで来ました。
腕時計といっても、ベルトの部分は、透明のビニールで出来ていて、時計本体の部分は、安いデジタル時計のモジュールのみといったものです。どう見ても、中国製の粗悪品といった趣の物なのです。
そのおじさん、カバンから一つ取り出すと、説明を始めました。説明といっても、物が物だけにたいしたことはいっていませんでしたが...
その光景を眺めつつ、「いったい、そんな腕時計だれが買うんだろうか??」と考えていました。そのおじさんに関心を持っているような人がいるようには感じられませんでしたので。
一通り説明が終わると、そのおじさん、車両の中を移動しながら、「いりませんか、いりませんか」と時計を見せています。
すると、三才くらいの男の子を連れたお父さんが、その腕時計を買うではありませんか。そして、その買った腕時計を、自分の息子の手首に付けてあげているのです。(その男の子、うれしそうな顔をするのです。)
それにつられたかのように、また一人、一人と買う人がいて、あっと言う間に、3個ほど売れると、そのおじさん、次の駅で降りて行きました。
結構、買う人がいるんだなぁと感心しました。

おまけ

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