こんな本を読みました

公開日:2000年7月10日

■ 写真追跡 知られざる板門店

写真追跡 知られざる板門店

著 者:山本皓一   
発 行:講談社
定 価:1,900円(税抜)
コード:ISBN4-06-207329-3

以前、紹介した「歴史群像シリーズ61 朝鮮戦争<下> 中国軍参戦と不毛の対峙戦」に掲載されていた、朝鮮戦争終結時の鮮明なカラー写真をご覧になった方、あの写真をご記憶でしょうか?
あの写真が日本にやって来た、その裏には、ドラマのような物語がありました。

この本は、ひょんなきっかけで入手しました。
その日、友達と一緒に神田・神保町の古本屋街で古書を探していた時、偶然、「写真追跡 知られざる板門店」のタイトルが目に飛び込んで来ました。
表紙をめくると、どこかで見た記憶の写真が、30ページにわたり載っています。
「あ、歴史群像シリーズに出ていた写真だ」と気がつき、即、この本を購入しました。


さて、この本は、その当時としては高価なカラーフィルムを使って撮られた板門店や、ソウルの風景が、40年の年月を超えて圧倒的な鮮明さで収められています。
(写真をお見せできないのが残念です。)

それらの写真を眺めるためだけにこの本を買っても価値があるのですが、この写真がアメリカから海を越えて日本にいる著者のところに送られてきた背景には、まるで映画のようなストーリーがあったのです。

この写真を撮影した主任速記者であった海軍将校であるジョージ。
ジョージと交際し、写真を著者宛てに送った日本人女性のキミ。
ジョージを取り巻く人々。

著者が、この写真の詳細を調べに渡米し、主人公であるジョージについて取材を重ねるうちに深まっていくジョージの謎の経歴。
波瀾に富んだキミの半生。

写真の背景だけでも充分に面白いのですが、この写真にまつわる主人公である二人の人生が、著者の丹念な取材によって明らかになっていくところに、ぐいぐいと引き込まれてしまいました。

日の目も見ずにごみ箱行きになっていたかもしれないこの写真を見られることに感謝しました。
古い本なので入手しづらいかも知れませんが、機会があれば、是非、ご一読されることをお薦めします。

おまけ

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