こんな本を読みました

公開日:2000年8月16日

■ 若き将軍の朝鮮戦争

若き将軍の朝鮮戦争

著 者:白 善 Y   
発 行:草思社
定 価:2,600円(税抜)
コード:ISBN4-7942-0974-6

以前、紹介した「白善Y回想録 韓国戦争一千日」は、出版されたのが88年であり、出版社もジャパン・ミリタリー・レビューというところだったため、今となっては入手が困難になっています。
(私も散々、あっちこっちを探して、ジャパン・ミリタリー・レビュー社にも電話をしたのですが、ついに入手することが出来ず、図書館を検索して、運良く読むことが出来ました。)
「白善Y回想録 韓国戦争一千日」は、朝鮮戦争で実際に指揮を執った白善Y氏自身の手によるもので、貴重な歴史的証言が含まれていました。
入手が困難であり、誰もが手にすることが出来る状況にはありませんでした。

しかし、今回、草思社から、その増補改訂版と呼ぶべき「若き将軍の朝鮮戦争」が出版されました。


この本の特徴は、やはり、実際に戦闘の指揮を執った体験者が、その経験を基にしていることが挙げられます。
実際の戦闘に関するところも貴重な証言なのですが、私が興味を持ったのは、解放後間もなくの韓国軍創建時の話、米軍との信頼関係の構築に苦心した話です。
日本の植民地から開放され、混乱した状況の中で、韓国軍創建のために、何もないところから軍隊と呼べるまでの集団に育てていくくだりは、経験者でなければ語ることの出来ない内容です。

また、国連軍として派遣されてきた米軍との信頼関係構築に、並々ならない苦心をしていたという話も、貴重な歴史の証言となっています。
創建間もない頃の韓国軍と、戦力的には上位に位置する米軍と共同して闘っていくために、実戦の実務者としての側面と、韓国軍の上級将校としての政治的な側面と板ばさみになりながら、米軍との信頼関係を作り上げていくために奮闘した話も、経験者でなければ知り得ない貴重な証言です。

その他にも、創軍間もない頃は、軍隊としての練度も低く戦闘集団として育て上げていかねばならないだとか、北の軍隊を追い返したら、残留兵がゲリラとして残ってしまい、掃討にかなりの時間を要したなど、その当時の様子が詳細とともに記述されています。

朝鮮戦争を、また違った側面から知ることの出来る本です。
是非、ご一読を!

おまけ

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